2人が愛用するグローブについて
この冬、数シーズンに渡って冨田姉妹が開発に携わってきたコロンビアのスノーボードグローブ『コップランドブルックスノーミトン』がリリースされた。
ハイレベルな滑りに応える高い機能性はもちろんのこと、可愛げを感じさせるふんわりとしたシルエットを求めて、中綿量を何度も何度も調整したそう。製品化に至るまでの長い道のりと2人のこsだわりについて聞いてみよう。
せな:じつは、なにか製品を1から作るのは今回のグローブが初めての体験でした。元々興味はあったけど、単純にデザインを選ぶような作業ではなくて、まさかいきなり立体的な型から道具を作る体験ができるとは思いませんでした。
るき:初めは今まで使ってきたグローブをいくつか持っていって、それをベースにこうしたい、ああしたいの要素を少しずつ盛り込んでいきました。
せな:私がグローブに求める一番の要素は、手の動かしやすさ。それに加えて今回こだわったのは、手の甲の厚みを出してほしいということです。中の生地は厚すぎないものを選んで、手の甲にだけボリュームを持たせてもらった。きれいなカーブを出しつつ、手を開いた時のつっぱり感を解消するのが難しくて、ベストな形を作るために表地と裏地のサイズ調整を繰り返したり、何度もサンプルを作ってもらいました。
るき:着けた時にぺちゃんこに見えるより、ボクシンググローブのようにふっくらしている方が可愛いかなーと思ったんだよね。その方が、ちょっと暖かくなるし。
せな:そうそう。あとは手首周りにテープとかを付けずに、簡単にスポッと着脱できる構造にしました。最初はリブなしだったんですけど、暖かさを逃さないニット素材のリブも付けてもらった。リーシュコードの長さもこだわっています。
るき:あとは、最近5本指タイプを使っている人が増えてきているけど、私たちはミトンタイプが好き。中は指が分かれていないシンプルな構造で、インナーグローブも併用できる仕様になっています。親指周りは、結構何度も直してもらったよね。
せな:中綿が多過ぎるとボリュームは出るけど、構造次第で指の部分が突っ張ってしまったり、逆に生地が余って中で指が遊んでしまったりしやすい繊細なパーツなので、何度も修正してもらいました。完成品はすごくグラブしやすく仕上がった。
るき:デザインは柄もののナイロン素材という案もあったんですけど、今回は最初なので天然レザーを使ったシンプルなデザインになりました。
せな:今後、コロンビアが使っているいろいろな柄物を使って、シーズンごとにパターンを増やしても面白いよね。ネックウォーマーとか、いずれはシリーズもので作れたらって考えています。
<後編に続く>
PROFILE
冨田 せな(とみた せな)
3歳から父の影響でスノーボードを始め、小学1年でハーフパイプの大会へ出場。 中学1年でプロツアー「HASCO presents PSA OPEN」で3位になりプロ資格を取得。中学3年で全日本選手権で3位になり、スロープスタイルでナショナルチームに選ばれる。 翌年ハーフパイプのナショナルチームへ転向。2022年冬・北京で開催された、4年に一度のスポーツの祭典ではスノーボード女子ハーフパイプ初となる銅メダルを日本に持ち帰る。
Instagram:https://www.instagram.com/sena_tomita/
冨田 るき(とみた るき)
父の影響で3歳からスノーボードを始める。 保育園年中のとき、初めてハーフパイプの大会に出場以来競技の道を歩み始める。小学6年でプロ資格を取得し、2017年全日本スキー連盟強化指定選手となる。ジャパンカップでは3位入賞、全日本選手権では5位、ジュニアワールドカップ5位に入賞。2021年冬・北京で開催された、4年に一度のスポーツの祭典ではスノーボード女子ハーフパイプに出場し、5位入賞。
Instagram:https://www.instagram.com/ruki_tomita/
Text:池田圭
Photos:杉村航
Special Thanks:赤倉観光リゾートスキー場