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2021.10.06

富士山ロングトレイル・スルーハイカー第1号へ道のり
〜第3回 ついに完登!“トレイル後半編”〜

富士山ガイドが自然の中を歩き富士山を一周するために作った、新たなトレイル『富士山ロングトレイル』をいち早くご紹介。スルーハイカー第1号を目指し、コロンビア・ロングトレイルハイクのアスリート&アンバサダーの斉藤正史さんがオープン前にチャレンジした模様をレポート!第3回は、いよいよロングトレイル後半戦。途中、厳しい天候に見舞われますが、果たして美しい富士山はその姿を現すのでしょうか……。

田貫湖周辺から続く縦走エリア

8日目の夕方、僕はあの有名なキャンプ場、ふもとっぱらキャンプ場にいた。吹き下ろすように吹きつける風は、僕の体を一気に冷やしていった。歩いてこのキャンプ場に来る人はほとんどいなかった。
それにしても、有名なキャンプ場だけあって平日なのに、かなりの数のキャンパーがいたことに驚いた。 

疲れていたのか、受付でトレッキングポールを置き忘れた。気づいてくれてトレッキングポールを届けてくれたお姉さんの笑顔に、ちょっとだけキュンとしたからか、ご機嫌を損ねた富士山はその姿を雲の中に隠してしまった。
しかし、翌日8日目の早朝は、機嫌を直してくれたのか、その美しい姿を朝日とともに見せてくれたのだが、この日の朝の寒さはとても春とは思えなかった。それもそのはず、結露したテントのフライが凍っていたのだった。

1 富士山ロングトレイル・スルーハイカー第1号へ道のり <br>〜第3回 ついに完登!“トレイル後半編”〜

▲ふもとっぱらキャンプ場の朝

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▲8日目、結露でテントのフライが凍る程の寒さだった。

寒気が4月とは思えない寒さをもたらす

この寒さは、寒気が入り込んだことによって起きたようだった。手袋なしでは手が凍りそうな寒さの中、縦走路への1,000mの登り返しを一気に登った。
途中、毛無山を3,100回以上登った、有名なおじさんに出会い、ガイドをしてもらいつつ歩く。富士山が安定して綺麗に見えるのは11月~2月の冬場だそう。それにしても、4月だと言うのに、空からはやがて白い物が降り始めてきた。

登り切って縦走路に入ると、ルート上で一番の高所だけあって霜柱が立っており、登山道も凍り付いていた。

3 富士山ロングトレイル・スルーハイカー第1号へ道のり <br>〜第3回 ついに完登!“トレイル後半編”〜

この寒気の影響で3日程かなり気温が低かった。そのせいか、朝夕の富士山はとても美しく見えた。ただ、日中でも足を止めると寒く、休憩時間を減らして体温を上げながらゆっくり歩くことが多くなっていった。

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▲パノラマ台からの美しい富士山

山梨側ではビューポイントが点在している

話によると、寒気のせいだけではなく、山梨県側の縦走路エリアは基本的に静岡県側より気温が低いそうだ。また、標高が高く、狭い登山道や斜度の急な縦走も多く、ブッシュが邪魔をすることもあり、人気のスポット以外は登山者に出会うこともなかった。

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▲本栖湖(もとすこ)周辺のルートは、まさにトレイルのような道のりで気持ちよかった。

10日目、寒気が入ったことと、山梨側の気温が低いことが幸いして、富士五湖周辺に来ると静岡県側では散っていた桜がまさに満開を迎えるころだった。特に精進湖キャンピングコテージのキャンプ場は桜が満開だった。キャンパーでテントが張れないほど賑わっているはずだったが、キャンプ場の朝はものすごく早く、しっかり防寒した多くの人々が、朝日をまだかまだかと、カメラを構えながら待つ姿は圧巻だった。

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▲精進湖から見える子抱き富士

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▲歩き終わったら、しっかりブーツを干します!

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▲ルートは連なる山々の山頂を通る縦走路を歩いていく。

再び崩れる天候

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▲西湖を望む富士山

11日目、徐々に天候が回復してきたと思われたのだが、日中の気温は標高の高い縦走路だったこともあり、長袖が手放せなかった。里に降りても気温が低く、風が冷たい。
この日は、久々にキャンプではなく、古民家宿rootfieldに宿泊だったので暖かい夜を過ごすことができた。

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▲久々の宿、古民家宿rootfieldはオシャレな空間だった。

しかし、12日目の朝、富士山を見ようと早朝に起きたのだったが、西湖の周辺には霜が降りていた。日中も中々気温が上がらず、毎回通過する山頂にも表示が無い道のりが続いていた。富士山の姿が見えないこともあり、歩みはどんどん早くなるのであった。

そして、歩き終える寸前の13日目。この日から天候は大きく崩れ始めるのだった。

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▲後半は、寒さからロングパンツとロングスリーブを常に着用していた。

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▲13日目の縦走ルートは、予報通り雨が降り出していた

雨の中、歩きながらも富士山のことが気になっていた。見えるはずの富士山が見えないのも、なんとも寂しいものである。視界の無い小雨の降る中、僕はただ歩くしかなかった。

そして、最後の宿、三ツ峠山荘へと着いた。

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