日産とコロンビアの共同開発による、アウトドアライフを後押しする『KICKS e-POWER コロンビアエディション』が2021年11月に発売! 自動車メーカーとアウトドアブランドがタッグを組んだ500台限定の特別仕様車について、両社の担当者による座談会から開発秘話とその魅力に迫る。
日本が世界に誇る自動車メーカー・日産自動車(以下、日産)がコロンビアとタッグを組み、コンパクトSUV『KICKS e-POWER』のコラボレーションとして、500台限定の特別仕様車『KICKS e-POWER コロンビアエディション』を2021年11月2日に発売! アウトドアで映えるチタニウムカーキの特別塗装色、コロンビアのコーポレートカラーであるブルーのグリル&ロゴステッカー、そしてコロンビアを代表するロングセラー『マルチポケットフィッシングベスト』をモチーフにした特別装備(コロンビアパッケージ)など、コラボレーションの強みを最大限に生かしたプレミアムな仕上がりとなっています。今回はこの特別仕様車の発売を記念して、両社の担当者による座談会を実施! 開発秘話やこだわりのポイント、そして特別仕様車で実現できるアウトドアスタイルなどを伺いました。
【座談会メンバー】
コロンビア・マーケティング/PR担当:内藤さん
コロンビア・マーケティング/PR担当:大極さん
日産・アクセサリー担当:橋本さん
日産・デザイン担当:大野さん
日産・企画&マーケティング担当:佐藤さん
それぞれが抱くブランドイメージと、きっかけになった“FITTING EARTH”
自動車メーカーとアウトドアメーカーという異業種のタッグで注目を浴びる『KICKS e-POWER コロンビアエディション』の開発に携わったメンバーの皆さんが、日産グローバル本社ギャラリーに集まり実施された座談会! 開発秘話に入る前に、まずはそれぞれのブランドに抱くイメージからお話はスタートしました。
コロンビア・内藤さん:今回コラボする前は、やはりアウトドアという意味で日産さんは『X-TRAIL』(圧倒的な走破性と操縦安定性を誇る本格SUV車)のイメージが強かったです。僕がアウトドア業界で働き始めた頃、いろいろなメーカーさんがX-TRAILのテレビCMを見て、「ああいうイメージでやりたいんだよね」と言っていました。僕としても当時すごくカッコいいと感じていた記憶があるので、今回お声がけいただいたときはすごくうれしかったですね。
コロンビア・大極さん:実は私の父がずっと日産さんで働いていたこともあり、幼い頃からクルマも身近な存在としてあったので、今回一緒にお仕事ができるのが決まったときはすごくワクワクしました。あと日産さんは、グローバルかつイノベーティブにさまざまなサービスを提供されているイメージが強いです。
日産・佐藤さん:コロンビアさんで長きにわたって会長を務めたガート・ボイル氏の、“いろいろな方にアウトドアを楽しんでもらいたいからさまざまな工夫をする”という精神が、今でも商品の至るところに織り込まれているんだなというのはすごく感じますし、自分もぜひそういう姿勢でありたいなと思います。
そして今回の企画がスタートしたきっかけが、日産とコロンビアが『KICKS e-POWER』で初めてコラボレーションした“FITTING EARTH”というキャンペーン。大自然を舞台に“試乗”と“試着”を同時に体験できるというもので、クルマ好きとアウトドア好きのどちらからも応募が殺到して大きな反響を呼びました。
日産・佐藤さん:コロナ禍ではありましたが、2021年3月にコロンビアさんと“FITTING EARTH”というキャンペーンをやらせていただきました。そしてその流れが今回のコラボレーションカーの企画に繋がっています。
コロンビア・内藤さん:“FITTING EARTH”からの流れで「アウトドアへ気軽に出掛けよう!」という部分は、今回もベースとなるコンセプトにありました。本格的なアウトドア好きの方はもちろん、これからアウトドアを始めたい方にも喜んでもらえる要素をいかに作れるか、というのは大きなテーマでしたね。
ブランドの歴史とDNAを忠実に再現! コロンビアエディション開発秘話
そうしてついに、自動車メーカーとアウトドアブランドが本気でタッグを組んだ一大プロジェクト『KICKS e-POWER コロンビアエディション』の開発がスタートしました。
コロンビア・大極さん:コロンビアとしては最初にどのような素材を日産さんに提供できるかというところからスタートし、日産ブランドを愛するファンの皆様に私たちから伝えたいことを社内で整理しました。そのうちのひとつが、コロンビアがアウトドアで築いてきた“歴史”。そして『Columbia Sportswear』という会社名にも表れているように“アクティビティ”や、日常でも着られるという意味で“ファッション”。大きくその3つの要素をご提案させていただいた結果、今回は特に“歴史”にフォーカスを当てて、コロンビアのアーカイブをどのようにしてクルマに落とし込んでいくかというテーマで開発を進めていきました。
日産・佐藤さん:デザインや仕様を固めていくにあたって、日産側からはもちろん、コロンビアさん側からもさまざまな案が出て、途中は案がありすぎて何が正解なのかわからなくなった段階もありましたね。
コロンビア・内藤さん:我々としても、クルマのデザインを考えられるとなったらテンションが上がってしまい、いろいろ要望をたくさん出してしまった結果、日産さんはそれらをまとめるのが大変だったかと思います。
コロンビア・大極さん:やはりクルマとアウトドアは関係性がすごく強いですし、コロンビアの社員でクルマ好きも多いです。“FITTING EARTH”に続き、今回の日産さんとのコラボも楽しみにしすぎて、こちらから聞かなくても私たちにいろいろな案を言ってくれたり、中には会社の廊下で呼び止めて自分の“日産愛”を熱く語ってくれたりする人もいましたね。
日産・橋本さん:まとめていく過程のなかで個人的に大変だったのは、コロナ禍だったので顔を合わせて話したり、現物を見て相談したりということが気軽にはできなかったこと。オンラインでもできるところはあるのですが、例えばロゴの刺繍での形やカラーの再現度といったディテールの話になってくると、やりくにさを感じる場面もありました。また限られた日程のなかで進めていかなくてはならないので、コロンビアさんにきちんと精査いただくところ、日産にある程度は任せていただくところを細かいレベルで相談させてもらいました。いろいろと制約がある中での企画ではありましたが、スケジュールの遅れもなく、コロンビアさんにもご納得いただけるものに仕上がったと思います。
日産・大野さん:例えばカラーの部分で言うと、今回のボディカラーは“ダークブルー”と“チタニウムカーキ”の2種類があるのですが、チタニウムカーキの方は中の特別装備と色合いがぴったりなんですよ。そういう素材があったのがラッキーと思えるぐらい、エクステリアとインテリアを同じカラーで統一することができました。また、コロンビアさんにとって最も象徴的な山である“マウントフッド”のオリジナルステッカーを車体のサイドに配置したのですが、KICKSのCピラー(後部座席の斜め後ろにある柱)に当ててみたところ、こちらも形が偶然ぴったりそろったんですよ。カラー以外のそういった細部のデザインにもぜひ注目してください。
コロンビア・大極さん:私たち日本人にとって特別な山が富士山であるように、コロンビアが生まれたポートランドにとって特別な山がマウントフッドであり、コロンビアのグローバル製品にはマウントフッドのモチーフを取り入れたものがすごくたくさんあるので、その部分を日産さんが大事にしてくれたのはうれしかったです。
そして日産の自動車メーカーとしての視点と、コロンビアのアウトドアブランドとしての視点。ジャンルの異なる両者がコラボレーションしたことで生まれたアイデアや気づきもあったそうです。
日産・橋本さん:防水加工がされていて脱着しやすいフロントシートエプロン、小物を取り出しやすい上段と小物が落ちにくい下段という収納構造のシートバックポケット、ラゲッジフロアを保護して小物も収納できるラゲッジシートなど、どれもコロンビアさんの知見やアイデアを至るところに織り込んでいます。
コロンビア・内藤さん:今回、コロンビアというブランドにおけるDNA的な存在である『マルチポケットフィッシングベスト』を、日産さんの手でシートバックポケットなどに具現化していただきました。コラボ車を一緒に作るとなると、僕らはどうしても「外観をどうするか」みたいな話になりがちなんですが、今回は日産さんの方から「インテリアでもアウトドアを表現するのはどうですか?」というご提案をいただいて。そこからさまざまなアイデアが広がっていったように感じます。
日産・橋本さん:あとは気づきの面で言うと、シートエプロンのコロンビアさんのロゴ位置です。最終仕様はヘッドレストの位置に配置しておりますが、もともと私たちは乗り込むときや車内にいるときでも目に入り、かつデザインのバランスを考慮して足元に近い下の位置を提案していました。ただそれでもロゴは若干見えにくいことは悩みでもあり、そのときにコロンビアさんの方から「車内からではなく、車外から目立つ上の位置にロゴを入れてみては?」というアドバイスをいただき、今の位置に。車内からどう見えるかをいろいろ考えていたのですが、車外からインテリアを見るという視点はあまりない発想で新鮮でしたね。
コロンビア・大極さん:アウトドアでも駐車している時間はクルマを自慢できるタイミングのひとつですよね。そのときに外から見える位置にロゴが見えたら会話のきっかけになりますし、それがコロンビアエディションのKICKSだからこそのポイントのひとつになればいいなと思ってご提案させていただきました。