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2022.10.24

“尾州ウール”って知ってる? 世界が認める毛織物技術 × コロンビア 〜CHADWICKシリーズ〜

今季、コロンビアで長年人気を誇るアイテムのひとつ『CHADWICK』に日本が世界に誇る “尾州ウール”とコラボレーションした<カフェシリーズ>が登場。現代のサスティナブルな価値観とも通ずる、伝統な羊毛再生文化を持つ“尾州ウール”を紐解きます。

世界三大ウール産地である愛知県の尾州産地で受け継がれてきた毛織物技術。コロンビアでは、古くからの伝統によって生み出される“尾州ウール”“毛七(けしち)”と呼ばれる羊毛再生文化に注目。同素材をアッパーに使用した特別なぬくもりを感じられるCHADWICKが誕生しました。今回は、生地サプライヤーである大鹿株式会社の塚本さんとコロンビア商品部・日高さんの対談から、<チャドウィックカフェ ビシュウシリーズ>に込められた想いと魅力とに迫ります。

海外ブランドも大注目、世界に誇る“尾州ウール”とは?

日本一の毛織物生産地として発展してきた愛知県・一宮市を中心とする尾州地域。木曽川に育まれた肥沃な土地が綿花の栽培に適していたことから、綿織物の産地として発展し、明治後期には毛織物に着手。蓄積された技術と生地の仕上げに適した軟水質が相まって、評価の高い毛織物の産地として知られるようになります。古くから培われてきた伝統から生み出される毛織物“尾州ウール”は、国内外から注目を集めています。

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“尾州ウールが”使用されているのは、主に紳士服やニットといった衣類品。その品質の高さから海外のハイブランドの信頼も厚く、近年その名は世界に知られるものとなりました。1922年の創業以来、尾州産地でテキスタイルの卸商・ものづくりに携わってきた大鹿株式会社の塚本さんは、“尾州ウール”の特徴をこう解説します。

塚本さん:海外のほかの産地と比べたときに“尾州ウール”の特徴としてひとつ挙げられるのは、分業制ですね。尾州では生地をつくるにあたって、糸を紡ぐ工場やそれを織る工場、織りあがった生地を仕上げる工場などと、さまざまな工程を企業ごとに請け負っています。地域自体がひとつの大きな工場とイメージしていただくとわかりやすいかもしれません。各企業が工程を担っていく中で、専門性が深まっていったという側面があります。このことにより、海外ではあまりない生地の表現ができるようになりました。また、地域を流れる木曽川の水が生地の仕上げに非常に適していることなど、さまざまな要素が重なったことも世界的な評価につながったと考えています。

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羊毛再生技術“毛七”で繋がる、伝統とサスティナブル

“尾州ウール”と並んで、今回コロンビアが注目した尾州に受け継がれるもうひとつの伝統技術。それが、古着や余ってしまった生地を集めて再生する“毛七(けしち)”です。

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塚本さん:“毛七”とは、ウール70%という意味。残りの30%にポリエステルやナイロンの合成繊維を混ぜることで、リサイクルの工程で短くなってしまったウールのワタを糸に加工しやすくなります。この再生羊毛の糸で織った生地を業界用語で、毛七と呼んでいます。以前からウール原料は貴重で高価なものだったのですが、そこで使わなくなった洋服や余った生地をワタに戻してリサイクルをしていたんです。これは、日本人が持っている“もったいない”の精神があったからこそ発展した技術だと思っています。古くから尾州で行われているリサイクル文化を多くの人に知ってもらいたいと始めたのが、このテキスタイルブランド“毛七”なんです。

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▲使わなくなった衣類を集める。集められた古着の中でもワタに戻せない部分を釦や洗濯表示などをハサミを使い、ひとつひとつ手作業でカット。

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▲その後、色ごとに分けられ、反毛機に掛けられることで、ワタに戻り糸へと加工されていく。

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▲毛織の工程は一本一本職人の手によって作業される。

「価値ある羊毛を無駄なく使おう」という意識のもと60年以上前から続くこのリサイクル文化。サスティナビリティの観点からも注目すべき“毛七”には、モノづくりや「エコロンビア」を始めとする環境保全プロジェクトに取り組むコロンビアとして共感と学びがあったと日高さんはいいます。

日高さん:買う側にとっては、リサイクルから生まれたものの良さって実感しづらい面もあると思うんです。加えて、再利用品だからといって安価なのかというと、そうではないですよね。実際に製造過程を見学させていただいたのですが、現場での作業はとても手間暇の掛かるものでした。回収したされた古着を反毛機でほぐして、繊維を撚って糸にし、昔ながらの織機で織物に仕上げていく。そこにはたくさんの手間と職人の方の技術が費やされていることを今回コラボレーションをきっかけに僕自身学びましたし、“毛七”の取り組みと製品には納得感がすごくありました。『CHADWICK』を通じて、このことをより多くの人に知っていただく機会になればと思っています。

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▲さまざまな工程を経て、“毛七”として蘇る。

足元に尾州のぬくもりをまとう。新作<カフェシリーズ>の魅力

昔ながらの織機を使った熟練の技によって生まれる、あたたかな風合いと豊かなテキスタイルパターン。今季登場した<カフェシリーズ>には、そんな“尾州ウール”ならではの魅力と革新的なアイテムを通じて日本の伝統を広めたいというコロンビアのものづくりへの想いがたくさん詰まっています。塚本さんと日高さん、それぞれの視点で本シリーズの注目すべきポイントを挙げていただきました。

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日高さん:『CHADWICK』は、長らく人気のあるコロンビアの定番アイテム。一時販売中止を経て、2022年に春にはLITEコレクションとして復活、秋には新たにCAFÉコレクションが登場するにあたり、良さを残しつつ新しい提案もしていきたいと考えるなかで“尾州ウール”に着目し、こちらからアプローチするかたちで<チャドウィックカフェ ビシュウシリーズ>が誕生しました。とはいえ、僕らもウール素材をシューズに積極的に使ってこなかったこともあり、だからこその面白さがあると感じましたし、我々コロンビア・スポーツウェア・ジャパンとして、本国アメリカにはないカルチャーや日本ならではの素材を進んで取り入れていきたいという想いがありました。

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『CHADWICK』自体、リラックス出来る環境で履いていただくことを提案していますので、耐久性はもとよりいかにぬくもりを感じていただけるかというところに重点を置きました。シーズン的にも秋冬ということで、肌触りとデザインからあたたかさが感じられる『CHADWICK』になっています。何千本もの針(筬)がついた織機に経糸を職人さんが手作業で通すことで生まれるパターンや、原料本来の色を活かす事で染色をしなくても味のある落ち着いた色みも楽しんでいただけると思います。今後もアウトドアブランドとしてアパレルやシューズを作っていく中で、テクノロジーはもちろん<チャドウィックカフェ ビシュウシリーズ>のようにサスティナブルや伝統といったところにもフォーカスしていきたいです。海外の方に日本の良さを感じてもらうだけでなく、日本人である私たち自身が伝統や文化に誇りや新鮮さを感じられるようなアイテムを提供していけたらと思っています。

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塚本様:コロンビアといえば多くの方に支持されているアウトドアブランド。その中でも『CHADWICK』は私も以前から知っているシューズですし、ファンの方も多く手にとっていただける機会が多いアイテム。<チャドウィックカフェ ビシュウシリーズ>を通じて、より多くの方に“尾州ウール”の良さを体感してもらえると思いますし、尾州という織物の産地があるんだと認識してもらうきっかけになればそれだけでもすごく価値があることだと思っています。

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INFORMATION

コロンビアらしいポップなカラーリングや素材感を楽しめる定番のライトシリーズにサステナブルなマテリアル、エコレザーや尾州再生ウールを使用した、『CHADWICK』カフェシリーズの特集ページはこちらから。
https://www.columbiasports.co.jp/shop/e/enewcdwk/

アイテムの詳細はこちらから。
『チャドウィックカフェ ビシュウ』¥11,000(税抜)
https://www.columbiasports.co.jp/shop/g/gYU6059010—-5000

Text:野中ミサキ(NaNo.works)

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2022.10.24