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2021.06.21

アーティスト・長場雄さんと歴代フジロック×コロンビアTシャツ

フジロック×コロンビアの2021年コラボアイテムが完成!アートワークを提供したアーティストの長場雄さんと歴代のフジロック×コロンビアTシャツを振り返りながら、今年のフジロックに向けて手掛けたコラボアイテムのテーマについてインタビュー。

コロンビアが今年もオフィシャルサポーターを務める“FUJI ROCK FESTIVAL ’21(以下、フジロック)”とコラボレーション! 夏フェスコレクションとして、Tシャツ、バックパック、サンダル、マスクなどを2021年6月18日(金)からコロンビア直営店・コロンビアオンラインストアにて発売。このコラボ・アイテムのアートワークを手掛けるのは、作品発表のほか、雑誌、書籍、広告、アパレルブランドとのコラボレーションでも活躍するアーティストの長場雄さん。そこで今回は2018年からフジロック×コロンビアのコラボアイテムを手掛ける長場さんに、歴代のフジロック×コロンビアTシャツを振り返ってもらいながら、今年のテーマについてインタビュー。加えて、自身の作風の原点や、自然を身近に感じられる日々についても語っていただきました。

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原点はTシャツと名画。自分が心地よく、誰とも被らない作風。

シンプルな線画のタッチの中に、不思議と温かみと個性が感じられる──長場雄さんの描く作品は、今やさまざまなブランド、カルチャー、シーンで見られ、自然と街に溶け込んでいます。

「街中で自分の作品を見ると『あっ』って反応しちゃいますね。さすがに声を掛けには行かないけど、ちょっとドキドキします。僕としては多くの人に手に取ってもらえれば満足で、気に入って長く愛用してもらえればそれでいい。その意味で、間口は広くしておきたいっていうのはあるかな」

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その風貌と発する言葉から伝わるのは、あくまで“自然体”な姿。引く手あまたの存在になっても、長場さんのスタンスは変わらないようです。まずはその長場さんの原点を振り返ってみると、大学卒業後にアパレル会社に就職して、Tシャツのグラフィックデザインをしていたのがこの業界のスタート地点とのこと。

「振り返ると、やっぱりTシャツのことをずっと考えてきた人生だったのかも、ははは。どこに落とし込むって考えた時に、Tシャツというのは一番イメージしやすい。『この絵がTシャツになったらどうなるんだろう』って自然に考えているかもしれない。考え方がTシャツのイメージというか」

Tシャツをキャンバスと捉えると、ウェアの中でもその自由度は高い。それこそたくさんのモチーフを入れたくなりますが、「ゴテゴテしたものよりはサラッとしたものが好き。ただその中でもインパクトがあって、人の目に留まるような絵づくりを考えているかな」という長場さんの言葉からは“引き算の美学”を感じます。

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5年ほどアパレル会社で働いたのち、フリーランスとして活動を始めた長場さん。その頃はクライアントのオーダーに応じて、さまざまなテイストの作品を描いていたそうです。そんな長場さんに転機が訪れたのは2014年。現在の作風に繋がる、線画のタッチでの作品を思いつきました。

「自分の中で線画が面白いんじゃないかと気づいて、その面白さを伝えるにはどうしたらいいのか考えました。その時に『みんなが共通してわかるモチーフをこのタッチで描いたら伝わるかも』と思って、最初に選んだのが名画。ダ・ヴィンチの『モナリザ』や、フェルメールの『真珠の首飾りの少女』とか」

自分が心地よく、そして誰とも被らない。唯一無二の作風を手にした長場さんは、そこから大きく活動の幅を広げていきます。雑誌『POPEYE』の表紙を描いたことや、Instagramに日々作品を投稿し続けたことも追い風となり、さまざまなコラボレーションの依頼が舞い込むことに。

「こういうアイテムで、どこで使われるかということは頭に入れますが、だからといってそれに寄りすぎて自分のテイストが変わってきちゃうのは嫌。だからあまりそこまで考えすぎないっていうのはあるかもしれません」

2018年から手掛けるフジロック×コロンビアのコラボ

長場さんがフジロック×コロンビアのアートワークを手掛け始めたのは2018年。それまで特別な繋がりはなかったものの、コロンビア側からのラブコールで実現しました。そして、2018年にオフィシャルのコラボ・グッズとして制作されたのが、“ポンチョ”をテーマにカラフルなアートワークを描き下ろしたTシャツ。

「アイコン的なアイテムのポンチョで描いてほしいということで、そのときはけっこう色を使って描きました。基本的に僕はモノクロの表現が多いので、普段とテイストはちょっと違いますね。これはヒッピーっぽい昔のフェスをイメージしていて、とにかく楽しそうな感じを出そうと思いました」

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▲“ポンチョ”をテーマに手掛けた2018年のコラボTシャツ。

そのTシャツが好評につき、続く2019年もコラボレーションが実現。その年、長場さんは“ロックバンド”をテーマにしたフジロック×コロンビアのコラボTシャツと、“オーディエンス”のモチーフでコロンビアのフェスをイメージしたTシャツという2種類のアートワークを手掛けました。

「お題としてはフジロックに出ているようなバンド、あとはオーディエンスを描きましたね。ただ、バンドの方がいろいろな音楽ジャンルがあって、それぞれに格好があるから難しくて。自分の中でバンドというと90年代のニルヴァーナとかが世代だったので、そういうイメージがほしいなと思いつつ、もうちょっと昔のラモーンズとかのバンドもミックスさせたかった。でも男だけのバンドだと、ニルヴァーナっぽいとかラモーンズっぽいって固定されてしまうと思ったので、男女を混ぜたバンドのイラストにしました」

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▲2019年コラボの“ロックバンド”をテーマにしたTシャツ(画像左)と、“オーディエンス”のモチーフにしたTシャツ(画像右)。

そして2020年はコロナ禍の影響によりフジロック自体は延期となりましたが、コラボアイテムとしてフェスシーンをイメージしたアートワークのTシャツ、キャップ、サコッシュを制作。先着でオリジナルステッカー、抽選でサイン入りトートバッグのプレゼントも実施し、さらにコラボTシャツの売上の1%は、新型コロナウイルス感染症対応を含む日本赤十字社の活動資金として寄付されました。

「この時のアートワークはオーディエンスとポンチョで、2018年と2019年をミックスさせたようなイメージ。あとは僕がよく使うネタとして、マーヴィン・ゲイの『アイ・ウォント・ユー』がベースです。もうひとつはアンリ・マティスという画家の“ダンス”という絵が元ネタで、みんな手と手を取り合って踊っているイメージ。これはコロナ禍に入る前に提出していたのですが、そのあとフジロックの延期が決まった頃にソーシャルディスタンスの問題が出てきたため、手と手を離したバージョンをステッカーで作りました」

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▲2020年は、フェスシーンをイメージしたイラストのTシャツ、キャップ、サコッシュを制作。

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