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2022.06.03

登山の楽しみのひとつ──あなたの“山ごはん”を教えてください! 〜エベレストサミッター・伊藤伴〜

大自然の中で食べる“山ごはん”は、登山の楽しみのひとつ。澄み渡った空気や美しい景色とともに食べる時間は、それだけで特別なものです。今回はエベレストサミッターで登山ガイドの伊藤伴さんに、簡単に作れるお気に入りの山ごはんと、それにまつわるエピソードをインタビュー。コロンビア×カップヌードルのコラボアイテムもチェック!

登山は「アクティビティ」としての楽しみ方に加えて、慣れてきたら自然の中でごはんを食べる「グルメ」としての楽しみ方も定番! 大自然に囲まれながら、自分の好きな時間・場所で食べる“山ごはん”は、普段の食事とはまったく異なる味わいを感じられるものです。ただし登山初心者にとっては、「登山家や登山好きは、どのような山ごはんをいつも食べているの?」と思う方も多いはず……そこで今回は、エベレストサミッターとしての経歴を持ち、現在は登山ガイドとしても活動する伊藤伴さんと実際に山に登り、お気に入りの山ごはんと、それにまつわるエピソードを聞きました。加えて、伊藤さんのエベレスト登頂などをサポートした日清食品とコロンビアが、カップヌードルをテーマにコラボレーションしたアイテムの魅力などもご紹介します。

1 登山の楽しみのひとつ──あなたの“山ごはん”を教えてください! 〜エベレストサミッター・伊藤伴〜

▲伊藤伴さん

普段の何倍も美味しく感じられる──山ごはんの不思議と魅力

WITH OUTDOORで前回お届けした「登山×サウナ」企画に続く今回の「山ごはん」企画の舞台は、山梨県・奥秩父山塊エリアの最南端にある滝子山(たきごやま)。保水力の高さから森が豊かな通称“水源の山”は、最寄りにJR中央本線の笹子駅があるため電車でアクセスしやすく、出発点の道証地蔵(みちあかしじぞう)登山口からは、歩きやすさと景色の良さを兼ね備えた初心者向けのコースが人気です。

2 登山の楽しみのひとつ──あなたの“山ごはん”を教えてください! 〜エベレストサミッター・伊藤伴〜

3 登山の楽しみのひとつ──あなたの“山ごはん”を教えてください! 〜エベレストサミッター・伊藤伴〜

山ごはんを最高の状態で味わいたい伊藤さんと一行は、まずはお腹をぺこぺこにするために山登り! 涼やかな風が吹き、日差しもちょうどいい絶好の登山日和。森と渓流が広がる大自然の中を山頂に向けて歩を進めながら、伊藤さんに普段はどのような山ごはんを食べることが多いのかなどを聞きました。

4 登山の楽しみのひとつ──あなたの“山ごはん”を教えてください! 〜エベレストサミッター・伊藤伴〜

5 登山の楽しみのひとつ──あなたの“山ごはん”を教えてください! 〜エベレストサミッター・伊藤伴〜

伊藤さん:もちろん山登りのスタイルもいろいろあるので、それに応じて食べるごはんもバラバラではあります。本気の登山ではナッツ・チョコレート・ゼリーといった軽くてカロリーのあるものがメインですが、ツアーでお客さんと一緒に登るときなどは、山頂でしっかり時間を取ってごはんを食べます。例えばお湯を入れるだけでごはんに戻せるアルファ米を食べたり、テント泊講習のときは火を起こして料理もしますね。ごはんをより重視するときは、小さめのフライパンを持って行って早茹でのパスタでペペロンチーノとか、冬であれば切った野菜をジップロックに入れ、お肉も下処理をしておいてチゲ鍋も。あとはそうめんを茹でて食べたこともありますし、これまで登山でけっこういろいろなごはんを食べましたね。

聞いているだけですでにお腹が……。ただし伊藤さん曰く、登山初心者の方は最初から「手の込んだ料理を!」と意気込まずに、手軽で簡単な方法から山ごはんにチャレンジするのがおすすめとのこと。

伊藤さん:準備に時間がかけられないときは、コンビニなどで食材を買ってパパッと調理するのもいいかと。今はハンバーグなどの美味しいおかずやカット野菜、トッピングになる半熟卵なども売っているので、山に登る前にそれらを買っておいて、現地ではごはんだけを飯盒(はんごう)で炊いてロコモコ丼にするとか。前日から仕込むみたいなのは、慣れてきたり、気合い入れて作りたいときだったりでいいと思います。

6 登山の楽しみのひとつ──あなたの“山ごはん”を教えてください! 〜エベレストサミッター・伊藤伴〜

7 登山の楽しみのひとつ──あなたの“山ごはん”を教えてください! 〜エベレストサミッター・伊藤伴〜

そのアドバイスに倣い、今回はより初心者向けのスタイルで山ごはんを楽しむことに。目標の半分ほどの地点まで到達した段階で座れるスペースを見つけて、山ごはんの準備をスタート。今日のメニューは、コンビニ食材でパパッと作るチャーハンと、伊藤さんが普段からよく食べているという日清のカップヌードルです。

8 登山の楽しみのひとつ──あなたの“山ごはん”を教えてください! 〜エベレストサミッター・伊藤伴〜

▲今回用意したのは、日清カップヌードル、チャーシューチャーハンのおにぎり、炙りベーコン、刻み白ねぎ、醤油、こしょう

伊藤さん:日清さんにはエベレスト登頂のときのチームや、僕が所属している山のガイド協会などもサポートしていただいているので、これまでベースキャンプでも日清のカップヌードルをいっぱい食べてきました。あとは『マグヌードル』、『カレーメシ』とかも好きですね。海外にもインスタントラーメンは売ってますが、やっぱり味が違うので、ベースキャンプでは日本のカップラーメンの味が食べたくなります。

9 登山の楽しみのひとつ──あなたの“山ごはん”を教えてください! 〜エベレストサミッター・伊藤伴〜

まずは持ってきたコンパクトなテーブルに調理道具をセッティング。そしてクッカーに持ってきた水を入れて、アウトドア用シングルバーナーでお湯を沸かし、沸騰したらカップヌードルにIN!

10 登山の楽しみのひとつ──あなたの“山ごはん”を教えてください! 〜エベレストサミッター・伊藤伴〜

11 登山の楽しみのひとつ──あなたの“山ごはん”を教えてください! 〜エベレストサミッター・伊藤伴〜

そして3分待つ間にチャーハン作りへ。用意したのはチャーハンのおにぎりと、トッピング用の炙りベーコンと刻み白ねぎ、そして調味料の醤油とこしょうのみ。空いたクッカーでベーコンを軽く炒め、おにぎりやねぎを入れて全体を混ぜたら、最後に味付けしてフィニッシュ! ごはんを炊いて食材を切ってなど、一から作るのももちろん楽しいですが、まずは簡単&シンプルなもので山ごはんの美味しさを味わってみましょう。

12 登山の楽しみのひとつ──あなたの“山ごはん”を教えてください! 〜エベレストサミッター・伊藤伴〜

13 登山の楽しみのひとつ──あなたの“山ごはん”を教えてください! 〜エベレストサミッター・伊藤伴〜

14 登山の楽しみのひとつ──あなたの“山ごはん”を教えてください! 〜エベレストサミッター・伊藤伴〜

暖かな日差しに包まれながら、山ごはんを食べ始めた伊藤さんの姿を見ていると、こちらもお腹がさらにぺこぺこに。実際のところ、この日のカップヌードルは、人生の中で一番美味しそうに見えました。

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普段の生活と同じ食材や方法で作ったごはんでも、今日のようにありもので作った簡単なごはんでも、山で食べると普段の何倍も美味しく感じられる──それが山ごはんの不思議であり、大きな魅力です。

16 登山の楽しみのひとつ──あなたの“山ごはん”を教えてください! 〜エベレストサミッター・伊藤伴〜

我慢して頑張って登ったあとに食べる山ごはんは、まるで“ご褒美”

山ごはんを食べたあとはしばしの休憩。ここで伊藤さんに、これまでの登山の中で印象に残っている山ごはんのエピソードや、それらを通して感じる山ごはんの醍醐味などについて聞きました。

17 登山の楽しみのひとつ──あなたの“山ごはん”を教えてください! 〜エベレストサミッター・伊藤伴〜

伊藤さん:例えば海外遠征で6,000mから8,000mぐらいの山に登るときなどは、2週間から長くて1ヵ月半ぐらいは山に入るのですが、山で50日ぐらい過ごすとなると食事がすごく楽しみになってくる。長く山を登っていると楽しいことだけじゃなくて、しんどいこともたくさんあって徐々にメンタルが擦り減っていくので、その中でモチベーションを保ち続けるのは大変。そういうときにこそ食事というのは、心が休まる時間になるんですよね。それに誰かと一緒に登っている中で限界が近づいてくると、やっぱり少しギスギスしてくることもあって。ただ食事のときにコミュニケーションを取れるので、そういう意味でも大切な時間です。

18 登山の楽しみのひとつ──あなたの“山ごはん”を教えてください! 〜エベレストサミッター・伊藤伴〜

伊藤さんと言えば、2016年に当時の日本人最年少でエベレストサミッターとなった経歴でも知られていますが、世界最高峰の山へ挑んだ際にどのような山ごはんを食べていたのかも教えてもらいました。

19 登山の楽しみのひとつ──あなたの“山ごはん”を教えてください! 〜エベレストサミッター・伊藤伴〜

▲2016年に20歳でエベレストに登頂し、日本人最年少登頂記録を樹立。

伊藤さん:まずルートから説明すると、エベレストのときは前半と後半の2パートに分かれていました。距離的には前半が長くて2,800m地点まで飛行機で行き、そこから5,400m地点のベースキャンプまで2週間かけて歩いて行きます。そしてベースキャンプから8,000mまでが、みなさんの想像するような氷や岩や雪に包まれた世界。そこで2週間ぐらいは天気やルート工作待ちをしながら体を順応させて、1週間ぐらいで山頂まで登ります。ほとんどの滞在では、実は同行のコックさんがいて、あとヤクっていう大きな牛やポーターと呼ばれる荷物運びの方が僕らの1ヵ月分の荷物を運んでくれる。そこに日本食が大量に積んであって、日本食を食べたことのないコックさんが、お好み焼きとかすき焼きを作ってくれるんですよ。それで僕らはだいぶリフレッシュできました。ただコックさんが来られない地点まで行ったあとの1週間〜10日ぐらいは、先ほど言ったようなアルファ米や、クッキー・チョコレート・ゼリーを食べながら登っていきます。

20 登山の楽しみのひとつ──あなたの“山ごはん”を教えてください! 〜エベレストサミッター・伊藤伴〜

プロの登山家たちと挑む過酷な登山から、ガイドとして一般のお客さんたちと楽しむ登山まで幅広い経験を持つ伊藤さんは、山ごはんの魅力と重要性を誰よりも理解している存在と言えるでしょう。

伊藤さん:我慢して頑張って登ったあとに食べる山ごはんは、まるで“ご褒美”のように感じられます。あとは山で豆を挽いて飲むコーヒーもやっぱりすごく美味しい。僕はドリップコーヒーが好きなのですが、お湯を沸かすところから始めるその手間も好きだし、登りながら「どこでおいしいコーヒーが飲めるかな」と考えるのも楽しい。僕自身、山にはあえて“手間”や“不便”を楽しみにいっているところはありますね。都会へ戻るといろいろ便利だなと思いますけど、また“手間”や“不便”を求めて、それらを楽しみに山へ行くんです。

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