降り出した雨
4日目は雨の予報だったので明け方に宿を出発した。なんとか雨が降る前に大野路キャンプ場にチェックインしたのは日曜日の午前中だった。
キャンプ場には200張り程のテントやタープでごったがえしていたのだったが、午後から降り出した雨に、あんなにあったテント広大なテントサイトには10張り程まで減っていた。
5日目も雨が残り、一時的に晴れ間は合ったものの予報に反して午後からは雨に降られ、富士山の姿はおろか、寒さと雨にやられ凍えていたのだった。
6日目は、全行程の中でも1日道路を歩く行程で、集落等も通る道のりだ。ソーラーパネル越しに見えるシュールな富士山や、世界文化遺産の構成資産の山宮浅間神社(やまみやせんげんじんじゃ)の富士山遥拝所(ようはいじょ)からほんの一瞬だけ顔を出した富士山を、偶然居合わせたカップルと見て喚起するという人の暮らしが近いものだった。
徐々に天候が回復し、その姿を見せ始める富士山
宿泊した表蔵王(おもてざおう)キャンピング場で、朝、偶然にも美しい富士山を見つけた。この頃からスルーハイクで歩きながら富士山が良く見える時間帯が分かり始めたのだったが、それでも頭を隠したり、裾野を隠したりと、なかなかその姿をハッキリ見ることはなかった。
6日目を過ぎると、ルートは再び縦走路に入る。そのキツイ道のりの全貌を垣間見つつ、僕はちょうど中間地点となる田貫湖(たぬきこ)キャンプ場に身を寄せた。今までより、近くハッキリ見える富士山に驚いた。
トレイルを歩く上で一番楽しみなのが食事
今回、各宿泊ポイントでの補給が難しいので、マウントフジトレイルクラブの佐藤さんに3日毎に食料を届けてもらい、簡単な報告などをしていた。
そんなこともあり、夕飯は希望食品さんのアルファ米(白米)をアレンジしたレシピを毎日作っていた。今日は何を食べようか? 何を食べる気分だろう? そう考えながら歩くのもトレイルでの楽しみだ。
7日目の朝、天候もだいぶ回復し、時折登り返す道のりから見える美しい景色に何度も足を止めた。スタートして毎日約25度ほどずつ角度を変えながら富士山を見ていた。その微妙な角度の違いではあるのだが、全く違った姿に僕の目には映った。残り180度、富士山は僕にどんな姿を見せてくれるのだろうか。そう思うと心が躍った。
【今回の宿泊スポット】
1日目:民宿セイコウ荘(山梨県忍野町)
2日目:鹿鳴館(山梨県山中湖村)
3日目:民宿マルヤマ(小山町)
4日目:大野路ファミリーキャンプ場(裾野市)
5日目:富士市立少年自然の家 丸火自然公園(富士市)
6日目:西の家 表富士キャンピング場(富士宮市)
7日目:田貫湖キャンプ場(富士宮市)
プロフィール
斉藤正史(さいとうまさふみ)
山形県在住。ロングトレイルハイカー。2005年にアパラチアン・トレイル、2012年パシフィック・クレスト・トレイル、2013年コンチネンタル・ディバイド・トレイルを踏破し、日本人2人目のアメリカ3大ロングトレイル踏破者トリプルクラウンナーとなる。日本国内でロングトレイル文化の普及に務め、地元山形ではロングトレイル整備の活動も行う。
INFORMATION
富士山ロングトレイル
富士山ロングトレイル公式サイト
https://fujisan-lt.jp/
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https://fujisan-lt.jp/campaign/
Text, Photos:斉藤正史