【道具の準備】
「持っていくギアは場所や季節で毎回変える。」
毎年1回、僕は長いトレイルを歩いてレポートすることにしている。歩くトレイルコースが決まると、その条件にあてはめて、道具やウェアを一から考える。
というのも、トレイルは歩く場所によって大きく環境が変わるからだ。
仮に、アメリカ南部アリゾナ州にあるアリゾナ・トレイルを歩く場合と、カリフォルニア州にあるジョン・ミューア・トレイルを歩く場合とでは、持つギアが大きく変わる。
例えば、ブーツだ。ジョン・ミューア・トレイルは、高所エリアで岩場等が多い。この場合、ブーツはある程度ソールの固いものを選んだ方が足の疲れは少ない。アリゾナ・トレイルは、乾燥地域で岩場等よりも乾燥した土の上を歩くことが圧倒的に多い。この場合、固いソールだと足にマメが出来たりするので、クッション性のあるソールを持つトレッキングブーツの方が快適に歩くことができる。
このように、ブーツ1つで考えても同じトレイルと名は付くものの、大きく環境が変わるのだ。だからこそ、安全に快適に過ごすために、道具を変える必要がある。
では、今回の富士山ロングトレイルを分析してみた。気づいたのは以下の点だ。
①毎日宿かキャンプ場に泊まれるので、飲み水以外に使う水はそれほど多く背負わなくてよい。
②期間が14日間あり、困ったらバスで大きな町に行って体制を整えることが出来るので、バックアップ(予備)は持たなくてもよい。
③洗濯もできるようなので、ウェアも予備は少なめでよい。
④今回はマウントフジトレイルクラブの計らいで、3日に一度食料補給ができるので、食料は最大で3日分しか背負わなくてよい。
⑤4月の気候を考えると、寝袋の温度域はさほど高くなくてよい。
⑥ルートは土の道が多く、岩場などは少ない印象。
以上のことから、道具をどうするかは決まった。
【アウター類】
まず、防寒着を兼ねてレインウェアをチョイス。また、4月であれば天気の良い日には、日差しが強く日焼け対策や夕方の寒さ対策をしなくてはならない事から、太陽光をそらし強い日差しを軽減するコロンビアの独自テクノロジー“オムニシェイドサンディフレクター”を備えたフーディーをチョイスした。
【飛沫対策】
コロナ禍という事もあり、感染予防対策として飛沫対策用品もしっかりチョイスした。今回の富士山ロングトレイルではロードエリアも若干あるので、選んだアイテムはつけたまま飲食もしやすいバンダナタイプと、人の多い山域で歩きながらもずれ落ちにくいネックゲータータイプの2つ。
いくらアウトドアのフィールドを歩くとはいえ、しっかりと対策は行う必要がある。ただし、どちらも抗ウイルス効果はないのでマスクは別に持参することにした。
【バックパック】
海外のトレイルを歩く場合は、壊れた時のバックアップやウェアを少し多めに持つ。また、食料や水も最大で7日間は補給できないことも多いので、MAXで8Lは背負えるようにしている。数ヶ月歩く場合、季節も変わり、寝袋の温度域が暖かいものをチョイスするので、最低限80L程の大きさのバックパックを背負うのが当たり前なのだが、この富士山ロングトレイルに関しては、歩く期間、気候や水環境も考え、48Lのバックパックをチョイスした。この大きさでもしっかりドローンは収まる。日本のトレイルを歩く場合は、このくらいの大きさで十分だと思う。
【ボトムス】
基本的にトレイルを歩く場合、僕はハーフパンツを着ることが多い。1日中歩き続けるハイカーにとって、熱の放射も重要なポイントになる。アメリカのトレイルを歩く場合は、トレイルを歩き終えてからロングパンツを防寒や虫よけを兼ねて着ることが多いのだが、今回の富士山ロングトレイルでは、日本の登山道は狭くて藪やブッシュに足を引っかけてしまう事もあるので、そのような道を想定して軽量でストレッチの十分効いたパンツをチョイスした。
【Tシャツ・ロングスリーブ】
Tシャツ2枚と、ロングスリーブ1枚をチョイスした。
Tシャツは、汗の乾きやすい“オムニウィック”搭載の吸湿速乾Tシャツの他、4月の日中の気温を考慮して新開発の冷却テクノロジー“オムニフリーズゼロアイス”搭載のTシャツを1枚準備した。
また、寒さ対策・におい対策等も兼ねて、疎水性素材と吸湿速乾素材で汗冷えしにくく、ウール素材で消臭効果も高いハイブリッド型のロングスリーブをチョイス。これなら春先の変わりやすい天候にも十分対応できる。
【帽子】
帽子はハットを準備した。春先の日差しは想像以上に紫外線が強いので、つばの広いタイプで、サンシェイド付きの物をチョイスした。日焼けは体力を奪われることもあるので、十分対策したい。
【サコッシュ】
アメリカのトレイルを歩いている時も、サコッシュを使用することが多い。少し大きめのサコッシュなら、コンパクトデジタルカメラやスマートフォンを入れることができる。動物と遭遇した時にシャッターチャンスを逃さないし、コースの分岐が分かりにくい場所ではスマートフォンを簡単に取り出してGPSデータで確認できる。町では貴重品を入れて持ち運べるので安心。普段使いもにいいし、1つあると便利だ。
【ギア一覧】
この他にも、サンダルや軽量なダウンジャケット、また雨対策で手袋を準備した。僕がチョイスしたアイテムの一覧はこうだ。
テント・・・マウンテンハードウエア『スカイレッジ2DP』(2人用)※販売終了
寝袋・・・マウンテンハードウエア『ファントム32』(0度対応)※販売終了
マット・・・ニーモ『テンサーインシュレーテッド レギュラー マミー』
ピロー・・・ニーモ『フィッロエリート』
シーツ・・・フォックスファイヤー『SCボックスシーツ』
浄水器・・・カタダイン『ビーフリー』
傘・・・ユーロシルム
バーナー・・・SOTO『レギュレーターストーブ FUSION(フュージョン)ST-330』
クッカー・・・SOTO『ナビゲーター クックシステム SOD-501』
カメラ・・・SONY『RX100m5a』
ドローン・・・DJI『マビックミニ』
アクションカメラ・・・DJI『オズモポケット・延長ロッド』
三脚・・・無名メーカー
ファーストエイド
カラトリー・・・トゥーゴーウェア
モバイルバッテリー・・・cheero『10500mAh』
以上が今回持参する主なギアになるが、基本的には最低限の荷物ではなく、最小限の荷物を持つようにしている。ただ歩くだけではなく、少しの楽しみを持つのが“MASA流”だ。長い時間歩くからこそ、多少重くても遊び心は欲しい。
さて、ウェアとギアが決まったら、いざ、富士山ロングトレイルへ!
つづく
プロフィール
斉藤正史(さいとうまさふみ)
山形県在住。ロングトレイルハイカー。2005年にアパラチアン・トレイル、2012年パシフィック・クレスト・トレイル、2013年コンチネンタル・ディバイド・トレイルを踏破し、日本人2人目のアメリカ3大ロングトレイル踏破者トリプルクラウンナーとなる。日本国内でロングトレイル文化の普及に務め、地元山形ではロングトレイル整備の活動も行う。
INFORMATION
富士山ロングトレイル
富士山ロングトレイル公式サイト
https://fujisan-lt.jp/
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https://fujisan-lt.jp/campaign/
Text, Photos:斉藤正史