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2023.04.27

LIFE IN NORIKURA Vol.1 人生を豊かにしてくれた、地域の人から学んだ“自然のなかで暮らす”ための知恵<ノーススター 山口 謙>

地域の人々にとってサスティナブルは当たり前

2021年3月に、乗鞍高原は「ゼロカーボンパーク」の第一号に認定された。ゼロカーボンパークとは環境省が制定したもので、国立公園において先行して脱炭素化に取り組むエリアを指す。

「認定されたときは、『なにもしてないのにいいの?』という印象でした。でも次第に、薪ストーブやコンポストを使うなど、乗鞍高原の人たちが自然にやっていることがゼロカーボンだったと気づきましたね。ゼロカーボンパークに認定されたことで、ノーススターから自宅まで歩くようになったりと、小さなことですが自分自身にも意識の変化がありました」

乗鞍高原は国立公園内にあるが特別保護区ではないため、人の手が入っている。スーパーもコンビニもない山の上なので、そうした整備はこの地で暮らす人々が連綿と行ってきた。道路の草刈りも、住民が「みんなでやる」ことが文化として根付いているそうだ。

「ここには自然のなかで暮らすための知恵や文化があり、それを学ぶことはとても楽しく、自分の人生を豊かにしてくれていると感じます。乗鞍高原を支えてきた70代の人たちは、木を切ったり、ソバを打ったり、魚を釣ったりと、なんでもできるんです。一方デジタルネイティブと呼ばれる若い世代は、IT技術を使って乗鞍高原のためになにができるのかを考えてくれる。こうした世代間のギャップを程よくブレンドしながら、乗鞍の自然とともにあるよい文化をどう守っていくか、試行錯誤している最中ですね」

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▲乗鞍高原を好きになってもらうために、トレイル整備のイベント化など、訪れる人にとっての関わりしろを増やしていきたいと山口さんは語る。

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▲オフの晴れた日は、マウンテンバイクにまたがり乗鞍高原のトレイルを走ることが多いという。写真の場所は、森を抜けた先に草原が広がる「一の瀬」。かつて牧場だった場所だ。

PROFILE

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山口 謙(やまぐち けん)
千葉県出身。株式会社ノーススター代表取締役。一般社団法人信州・乗鞍グリーンツーリズム副代表。のりくら観光協会企画宣伝部長。乗鞍高原をベースに、登山・バックカントリー・マウンテンバイクと、幅広いジャンルのガイディングを行う。

HP:https://ridenorthstar.com/
Instagram:@ridenorthstar

Text:松元 麻希
Photos:セツ・マカリスタ―

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2023.04.27