4回目のコラボアイテムはすごいことに……

──作品制作を眺める人たちとコミュニケーションできたのも、ライブならではの醍醐味だったのでしょう。そのパフォーマンスの最中、コロンビア原宿店ではルルさんとのコラボアイテムコーナーが設けられ、購入された方からサインを求められていましたね。
「それはめちゃくちゃありがたかったです。でも、『正気ですか？』って聞いちゃいました。とても素敵なアイテムばかりだから、サインなんかしないほうがいいのにと思って」

──店内では、実は4回目のコラボアイテムも展開していたんですよね。過去3回は、コロンビアと縁があるポートランドの風物が発想の源になっていました。今回はどんなテーマでしたか？

「コロンビアの方々に上高地へ連れていってもらったことがあったんです。その日の天気がめちゃくちゃよくて、目に入るものすべてがキラキラしていて、歩いている最中にも絵を描きたいと思ったんです。そこで得たインスピレーションをもとに描いた絵を、バックパックなどの柄にしてもらいました。さらに4回目は、すごいことになったんです」

▲『キャッスルロック20Lバックパック II』¥8,800（税込）（左）、『キャッスルロックユース12Lバックパック』¥6,490（税込）（右）

──すごいこと？
「コラボしたプライスストリームというラインで使うコロンビアのラベルを、何と私の絵を絡めて2種類もつくらせてもらいました。これはとんでもないことです」

▲『プライスストリームイヤフォンケース』¥1,430（税込）（左）、『プライスストリームユース45Lダッフル』¥8,690（税込）（右）

──コラボアイテムの展開は4回目ですね。
「最初は、こんなにつくらせてもらえるなんて思いませんでした。もう、自慢以外の何ものでもないですね。当然のことながら海外でもコロンビアを知っている人は多いので、コラボをしたと言って驚かれるのが快感になりました。幸せなことです」

──最新コラボアイテムで気に入っているものは？
「小物類が好きなので、小さめのポーチは3月末からの海外に持っていきます」

▲『プライスストリームポーチS』¥1,430（税込）

どんな場所でも絵を描ければ楽しい

──また海外での活動が始まるのですか？
「3月末から2週間はスリランカの村で壁画を描きます。そのあとはラオスへ。帰国は5月初旬になる予定です。これは、2022年にクラウドファンディングで募った、アジア5カ所で壁画を描くプロジェクトの一環で、最後に残った2カ所になります。スリランカは描く場所が決まっていますが、ラオスはまだ」

──およそ1カ月後の予定が決まっていないのですか？
「大丈夫ですよ。そもそも私は、勝手にそこへ行って自分で交渉して描かせてもらってきましたから。皆さんにお金を出してもらったクラウドファンディングですが、その最後に自分流でやってみてもいいかなあと。絶対見つかる、たぶん」

──「絶対」と「たぶん」の相反すら飲み込めてしまうのがルルさんなんですね。
「旅に対するハードルというか条件が低いんです。スリランカの村もだいぶ物がなくて、すでに水を薪で沸かしてシャワーに使ってくださいと言われているんですけれど、そういう場所でも気になりません。きっとラオスも似たような状況ですが、どんな場所でも絵を描ければそれで楽しい」

──ルルさんにNGはないのですか？
「アフリカへ行ったときにベッドバグ、南京虫の類には悩まされました。寝床で刺されると痒くて寝られなくて、さすがに帰りたいと思ったのですが、アフリカの人たちとの時間が心地よすぎて、結局3週間滞在しました。人と虫を天秤にかけたら、やっぱり人が勝っちゃうんです。またすぐにでもアフリカに行きたいですね。今年は個展をお休みして、壁画に集中します」

──そうしてルルさんが海外活動を行う中、ライブペインティングで仕上げていただいた絵は、3分割してコロンビア各店を巡回する予定になっています。より多くの人に見てもらえますが、いかがでしょう。
「ライブなので急いで描きましたけれど、逆にそれによってできる筆跡や滲みなど、原画に残る部分も楽しんでもらえたらうれしいです」

制作過程をリアルタイムかつライブパフォーマンスとして披露するのは、あるいはアーティストによっては不本意な場合もあるでしょう。しかしルルさんは、これまでのインタビューで垣間見せてくれた素顔同様、あるがままの姿で世界に1枚の作品を仕上げてくれました。そこに宿るのは、むしろ予定外を好み、たぶんを絶対の確信とするアーティストのスピリットそのもの。今後の活躍がますます楽しみになりました。

Text：田村十七男
Photo & Movie：Itaru Sawada