「サウナって私をこんなところまで連れて行ってくれるの？」（清水さん）

ほどよい疲れとともに下山し、一行が向かった先は山梨県大月市にある『金の森山荘』。こちらは四季折々の大自然の中で、渓流釣り・バーベキュー・シャワークライミングなどが楽しめる清流の里です。

ここからは清水さん念願のサウナタイムです。

元々は『金の森山荘』のオーナーである金森さんが趣味でサウナにハマり、個人的に購入したテントサウナを宿泊客にサービスで勧めていたところいつしか評判を呼び、2019年から本格的にサウナの営業をスタート。現在ではロシア製のテントサウナ・MORZH（モルジュ）などを楽しめるプランが人気となり、ゴールデンウィーク期間中もリピート客で連日予約が埋まっていたそうです。

オムニフリーズゼロを搭載したコロンビアの『パブロフクリークサウナハット』をはじめ、サウナウェアに着替えた清水さんは、いざ『金の森山荘』の敷地内に常設されているMORZHのテントへ！

テントの中で腰掛け、ときおりロウリュを交えながらじ……っくりと体を温める清水さん。そして心と体の時が満ちたらテントを出て、眼前に広がる透き通った川へIN。さらに外気浴でととのうは最高潮へ──。

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清水さんはそのセットを慣れたルーティーンで、さらっと4回繰り返しました。

清水さん：登山をしたあとのサウナはめちゃくちゃ気持ちいいですね。体を動かしたことでいい興奮状態になって、サウナに入るといつも以上にいい汗もかいて、ととのうリラックス具合がいつもの倍ぐらいありました。これがもっと山を登ったあとだったら……リラックスしすぎて家に帰れなくなっちゃいそう。

「今ではサウナのない生活は考えられない」と語る清水さんのサウナ遍歴を改めて振り返ると、その原点は大学生。19歳のときにダイエット目的で通い始めたジムでサウナに出会ったそうです。

清水さん：学生のときはひとりでこっそりサウナに行ってたのが、今はサウナに行くことが違和感なく通じますね。サウナが盛り上がってると感じ始めたのは、やっぱり漫画『サ道』（タナカカツキ・著）のドラマが始まったぐらいから。そこからどんどん、サウナが多くの人にとって特別なものじゃなくなった気がします。

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今の清水さんにとってサウナは日課であり、日常。そして行かないという選択肢がないもの。

清水さん：食事、睡眠、歯磨き、サウナみたいな。もう私のルーティンになってるので、行かないともぞもぞしちゃう。私は朝から行くのも好きですし、時間が空いたら行っちゃうし、自分の24時間の中でうまい具合にサウナに行く時間だけは確保してて。どんなに仕事があっても、30分でも、家の近くの銭湯とかジムのサウナとかに行きます。あと時間があるときはちょっと遠出したり、もちろんサウナ目当てで旅行とかも！

「昔ほど今は無理しなくなったし、サウナとのうまい付き合い方を見つけたかな」と笑みを浮かべる清水さんに、これからサウナを楽しみたいと思っている方へのアドバイスをもらいました。

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清水さん：サウナって言葉では伝わらない感覚的な部分があるので、最初は誰かに教えてもらったほうがわかりやすい。なので仲が良い人なら、まずは一緒に行こうって言います。ただ、水風呂が苦手な女性は多いので、「1回目は冷たいけど、2回目から気持ちいいよ！」って言って、とにかく1回で終わらせないようにしたり……。あと銭湯に行きたいのか、スーパー銭湯に行きたいのか、もしくはスパとかに行きたいのかっていうのをまず聞きますね。初めての人だったらスーパー銭湯とかの方が行きやすさはあるし、銭湯は町によって雰囲気やルールが違って私にはすごい魅力的なんですけど、初めてだと戸惑うんじゃないかなって思うので。

約10年、サウナと歩み続けて、“わかること”と“わからないこと”があると清水さんは語ります。

清水さん：「サウナが好きじゃなかったら友達になってないんだろうな」みたいな人とたくさん出会ってきたので、サウナで人と繋がったなっていうのはすごく実感します。性別も年齢もひとっ飛びで越えちゃうので。あとアウトドアでのサウナで特に印象に残っているのは、フィンランドに行ったとき。今まで日常の一部だったサウナが、オーロラサウナという非日常の究極みたいなサウナを体験することで、「こんなに日常と非日常のギャップがあるんだ！」ってものすごい感動しちゃって。「サウナって私をこんなところまで連れて行ってくれるの？」って思ったんですよね。自分とこんなに近いサウナなのに、すごく遠く感じることもある。知れば知るほど、知らないことの方が多くて、汗かくだけのように見えるのに面白いですよね。

「登山はサウナでととのうための“いい助走”になる」（清水さん）

登山とサウナのコラボレーションで、新たな“ととのう”を体験した清水さんと、登山からその一連の流れに同行していた伊藤さんに、登山とサウナの相性の良さや新たな発見について教えてもらいました。

清水さん：今日体験してみて、登山とサウナって似てるなと思いました。自然と一緒になるところはもちろん、皆さんは山に登るためにいろいろな場所へ行くじゃないですか？ サウナも同じく行ったことのない場所に行くきっかけをつくってくれるので、登山とサウナをセットでやれたらもっと楽しいだろうなって。

伊藤さん：今まで僕はあまりサウナを体験したことがなかったんですけど、先月にサウナ好きの知り合いの方と長野でロッククライミングをして、そのあとにサウナに連れて行ってもらったら一気にハマりました。露天がある高台から山が見えて、街を見下ろせるようなところですごいよかったんですよ。

清水さん：サウナ好きの人も、登山の魅力を知ればきっとハマると思います。自然の中での気持ち良さを追求すると、もしかしたら両方に辿り着くのかなって。サウナだけよりも登山のようなアクティビティと組み合わせた方が、体にちょうどいい負荷がかかって、ととのうための“いい助走”になるのかもしれません。

伊藤さん：クライミングしているときの興奮と、そこからサウナでととのうときのリラックスのギャップがあればあるほど良さそうですね。疲弊しすぎちゃうとダメだけど、適度な疲労はいいかなと思います。

清水さん：たしかに！ 今日のこの感覚を忘れないうちに、またすぐに登山へ行きたい。そのときはおにぎりを持って！（笑）。今日登ってみて、私はやっぱり山で何か食べたいんだなって再確認できました。がんばって山を登っておにぎり食べてサウナにも入れたら、また別の扉が開けてくるかも……。もうあまり考えすぎずに次は行けると思います。だって「ちょっとおにぎり食べに山へ行ってきます」ぐらいでいいんですもんね？

登山＆サウナ好きが双方にいい刺激を生んだ今回のコラボ企画。その番外編として次回は、清水さんもたびたび口にしていた“山ごはん”にフィーチャー。伊藤さんのお気に入り登山飯と、それにまつわるエピソードをお届けするので乞うご期待。

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※ソーシャルディスタンスを保ち、安全に十分に配慮した上で取材を行っています。

Text：ラスカル（NaNo.works）
Photos：後藤薫