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2021.09.06

トリプルクラウナー/イラストレーター・河戸良佑氏インタビュー
〜ロングトレイルに必要な才能と、『アリガト山』への思い〜

歩くのを止めて絵を描いているときは、心から『ありがとう』

河戸さんが膨大な道のりを歩きながら絵を描き続けたイラストレーターであることが、今回の『アリガト山』Tシャツ制作との縁をつないだのは言うまでもありません。

山への感謝をコンセプトにしたコロンビアのプロジェクト、『アリガト山』。スタートはトレイルランナーのマナーアップを軸にした啓蒙活動でした。ただしルール&マナーを前面に押し出すのではなく、“山を愛する気持ちを大事にしたい”という願いから親しみやすい名称を選択。

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▲トレイルランナーが山に入る際に心がけたい5つの心構えをイラストでわかりやすく紹介する『アリガト山STYLE』

2019年まではシーズン毎にイベントを開催し、現在では『アリガト山』サポーターズが約30名まで増えました。ですが、2020年からはコロナ禍の影響により活動中止。出かけられなくなった寂しさは元より、自然があってこその自分たちという再認識を経て、『アリガト山』の取り組みを象徴するTシャツを発売することになりました。素材はリサイクルポリエステル。売り上げの一部は日本山岳遺産基金に寄付します。

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▲2019年までに毎年開催されていた『アリガト山』のイベント ※現在はコロナ禍の影響により休止中

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▲イベント内ではランナーとすれ違う際のハイカーの擬似体験やエマージェンシーシートの使用体験、山の中でのゴミ拾いなど『アリガト山STYLE』に沿った体験が行われていた。

「正しい行いは常にいい。それは理屈じゃありません」。これは『アリガト山』に賛同する河戸さんの言葉です。今回のTシャツ・グラフィックは、『アリガト山』の取り組みをイメージした描き下ろしの新作になりました。自分の作品がコロンビアの店頭に並んでいると思うと、とても感慨深いそうです。

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▲河戸さんが描き下ろしたイラストが目を引く今回のコラボTシャツ『アリガトサンショートスリーブTシャツ

ところで河戸さんは、どんなときに山に感謝しますか?
「やっぱりトレイル上の生活が好きなので、歩くのを止めてコーヒーを飲みながら絵を描いているときは、心から“ありがとう”って気持ちです。あの瞬間は自然の中にいながらリビングでくつろぐような、ノープレッシャーの時間になりますから」

さいごに、山に感謝を感じる次のハイキングは決まっているのでしょうか?
「これからは絵を優先順位のトップに置くようなハイキングをしたいですね。絵に関しても、数を増やす面倒臭さを越えていくと特別な価値が生じると思うんです。特にインスタントさやキャッチーさが重宝されるこの時代の中では。まぁ、ハイキングしながら絵を描く人間は珍しいですしね。実は、トレイルを歩いていた最中にいろいろ試してみたんです。半年もあればなにか身につくだろうとハーモニカを買ったんですが、そもそもハーモニカを生かせるブルースの曲を知らなかった。よくわかったのは、ハイキングにしても絵にしても、好きなことしか続かないんだという事実でした」

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INFORMATION

アリガト山
トレイルランナーをはじめ、山を訪れるすべての人が山の正しい知識と他人への配慮、そして環境配慮への意識をもって山を楽しみ、山に感謝し、山を愛する人々に感謝することを伝えることを目的とした、株式会社コロンビアスポーツウェアジャパンとしての取り組み。

日本山岳遺産基金
日本の山々がもつ豊かな自然・文化を次世代に継承していくために設立された基金。「次世代育成活動」「山岳環境 保全活動」「安全登山啓発活動」の3つをテーマに、日本山岳遺産の認定と活動団体への支援活動を行っている。

●プロフィール

河戸 良佑(かわと りょうすけ)
兵庫県生まれ。普段はイラストレーター、ライターとして活動するハイカー。2015年Pacific Crest Trail(PCT)、2017年Continental Divide Trail(CDT)、2019年Appalachian Trail(A.T.)のアメリカの3大ロングトレイルをすべて踏破したトリプルクラウナー。絵を描きながらハイキングをしていたことから、付けられたトレイルネームは“SKETCH”。

Text:田村 十七男

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2021.09.06